【政界地獄耳】菅、小池、バッハ強引な歩調一致 - 日刊スポーツ(2021年4月24日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202104240000053.html

★コロナ禍は1年前の緊急事態宣言当時よりも事態が悪化しているだけでなく変異種の広がりによってこの1年間のデータを生かすというよりも新しいコロナ禍との闘いが始まったといっていい。3度目の緊急事態宣言発令は大阪府兵庫県京都府、東京都の4都府県にわたる。この政府の判断も日米首脳会談のため訪米日程を優先したために政府決定が1週間遅れたのではないか。

★しかしその判断は自治体の現状認識がベースになる。ほんの少し感染者人数が減れば解除を叫び、手の施しようがなくなると早く宣言を発令しろとその場しのぎの対策に明け暮れる自治体のさまを見ていると、コロナ禍は極めて人災であると感じる。ことに近畿地方の医療逼迫(ひっぱく)は大阪府知事の胆力のなさを際立たせた。一方、東京はオリンピック(五輪)を実現させる命題を抱えているため、なおさら政治的だ。今回の緊急事態宣言を来月11日までとしたのも同月17、18日のIOCバッハ会長来日まで抑え込み、五輪開催問題なしを演出したいもくろみだ。

★結局、東京と政府、IOCの利害は「何が何でもやる」で一致している。20日夜、首相・菅義偉は緊急事態宣言の五輪への影響を問われ「オリンピック(への影響)はないと思っている。安全・安心な大会になるように政府として全力を挙げていきたい」。都知事小池百合子は21日夜、「大型連休を前にして、このタイミングで緊急事態宣言をビシッと出すことも必要ということから、国の判断をお願いしたい」。21日バッハは「日本の緊急事態宣言について、東京オリンピックに関係するものではない」とした。3人の強引さはバッチリ歩調が合っているが国民や都民、アスリートたち、世界の人たちとのずれが広がった。五輪は「参加することに意義がある」から「政治的に参加させることに意義がある」に変容した。(K)※敬称略