(政界地獄耳) その決意はアスリートのためなのか - 日刊スポーツ(2020年11月17日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202011170000098.html

★14、15両日に実施された共同通信社の全国電世論調査で、新型コロナウイルス感染者数が過去最多を記録した現状への不安を尋ねたところ、「不安を感じている」は「ある程度」を含め84・0%。「Go To トラベル」を延長する政府方針には、反対が50・0%。新型コロナ対策では感染防止と経済活動のどちらを優先すべきかに「どちらかといえば」を含め、「感染防止」との回答が68・4%だった。

★国民は第3波の襲来といわれる状況に強い不安を感じている。16日、毎年1月2日に皇居で行われる「新年一般参賀」について、来年は新型コロナウイルスの影響で実施されない見通しとの報道もあった。欧州での厳しい感染対策、これから米国もバイデンの大統領就任でコロナ対策は強化されていくだろう。同日、国際オリンピック委員会IOC)会長トーマス・バッハが、首相・菅義偉と会談した。首相は冒頭「来年の夏、人類がコロナウイルスに打ち勝った証しとして、また東日本大震災から復興した姿を世界に発信する復興五輪・パラリンピックとして、開催を実現する決意だ」とし、「観客の参加を想定した検討を進めている」と述べ、バッハも「スタジアムに観客が入り、安全に試合を観戦できると確信している」と述べた。

★2人の、何が何でも来年のオリンピック(五輪)は実施し、成功させるという不退転の決意は分かったが、その決意は本当にアスリートのためなのか、被災地のためなのか、国民のためなのか、コロナ禍との闘いなのか、世界中の人々のためなのか、はたまたスポンサーのためなのか。だんだん、2人の決意は、2人の政治的公約のために行うためだけではないのかと思えてくる。五輪に政治を持ち込まないどころか、これでは何カ国参加しようが、不参加国が増えようが、縮小したアジア大会程度になろうが、拡大国体程度になろうが、政治的成功が欲しいだけに見えてしまう。(K)※敬称略