(政界地獄耳) 米中緊迫… 日本は言いなりか - 日刊スポーツ(2020年7月31日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202007310000087.html

★29日、外相・茂木敏光と中国国務委員兼外交部長・王毅は1時間20分にわたり日中外相電話会談を行った。外務省のリリースではコロナウイルス対策、日本産輸入品規制問題、尖閣諸島周辺海域等の海洋分野の課題と香港に関する日本側の懸念などが話し合われたという。日中関係者が言う。「容体が急変した台湾の元総統・李登輝問題が話された可能性がある」という。親日家の元総統は日本にも関係者が多く、影響は計り知れない。

★確かに今台湾情勢が不安定になることは11月の大統領選挙で劣勢に立たされている米・トランプ大統領が仕掛ける米中緊張に拍車をかけることになる。軍事紛争をあおる再選戦略で両国の緊張が高まれば、当然日本はいやが応でも巻き込まれかねない。領事館の閉鎖などがエスカレートすれば当然偶発的な小競り合いもありうるどころか、それが本格的な軍事行動を巻き起こすこともありうる。23日、米国務長官・マイク・ポンペオは「中国共産党から自由を守ることは今を生きる我々の使命だ」とまで発言している。既に挑発の域を超えている。

★一方、韓国の聯合ニュースは27日、米空軍のB1B戦略爆撃機2機が航空自衛隊のF2戦闘機(ハイパーゼロ)と共同演習を行い、翌日には米軍のCV22オスプレイ朝鮮半島東側の東海の上空を飛行したと報道するなど、日米も複雑な動きを見せる。また29日付の中国共産党機関紙・環球時報英語版には「南シナ海で軍事衝突の危険性が高まっている」と報じるなど、けん制合戦が暴発する事態も想定される。いずれにせよ、緊張が高まることが極めて危険なゲームに突入していることは明白だが、再選のためなど言語道断。日本政府はここでも米国の言いなりか。(K)※敬称略