ダレス米長官が改憲支持=「相互防衛に必要」−船田氏らに56年伝達・外交文書公開 - 時事ドットコム(2017年12月20日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017122000392&g=pol

ダレス米国務長官が1956年3月に来日した際、鳩山一郎政権要人との会談で、日本の憲法改正を支持する考えを伝えていたことが、20日公開の外交文書で分かった。集団的自衛権の行使容認を念頭に「相互防衛」に言及。同時に、軍国主義復活につながらないようくぎを刺すことも忘れなかった。(肩書、国名は当時)
ダレス氏は56年3月18日、東京の米国大使館で重光葵外相、船田中防衛庁長官河野一郎農林相、岸信介自民党幹事長らと会談。同党は55年11月の「保守合同」で発足したばかりで、改憲を党是に据えた。
東西冷戦の緊張が続く中、ダレス氏はソ連の動向などに触れた上で、「日本が世界の進化の責任を再び西太平洋方面で担うことを希望する」と発言。これを受け、船田氏が「しからば憲法改正が重要だ」と訴えた。
ダレス氏は「憲法上、直ちに相互防衛(の体制)をつくることはできぬ状況だから、憲法は改正する必要がある。改憲保守合同の次に重要なことはよく知っている」と述べた。会談録によると、個別の条文への言及はなかったが、9条改正で集団的自衛権行使に道を開き、日米の相互防衛を可能にしたいとの思惑があったとみられる。
当時は終戦から11年余りで、警察予備隊、保安隊を前身とする自衛隊が54年に発足。ダレス氏は「日本が強国となることが米国の希望だ。しかし、これは決して軍国主義に帰ることにあらず、その反対だ」と強調した。
岸氏の孫に当たる安倍晋三首相は2014年、憲法解釈の変更で集団的自衛権行使を容認。これを具体化した安全保障関連法を15年に成立させた。現在は、改憲で9条に自衛隊を明記することなどを目指している。
船田氏の孫は船田元・自民党憲法改正推進本部長代行、河野氏の孫は河野太郎外相。