(政界地獄耳) 日本とフィリピンの違いは政府の覚悟 - 日刊スポーツ(2020年2月13日)

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★11日、フィリピン政府は「訪問米軍に関する地位協定」(VFA)を破棄すると米政府に通知したと発表した。協定は通知から180日後に失効する。同協定は比国内で合同軍事演習などを行う際の米兵の法的地位を担保するもので、有事における米軍の援助を可能にする一方、殺人や性犯罪の容疑者となった米兵の拘束を拒否するなど比側からは不平等との批判もある。クーパー米国務次官補(政治軍事担当)は「演習など計300の活動が止まる」と指摘している。

★きっかけは比ドゥテルテ大統領の側近で警察長官在任中に強引で非人道的な麻薬犯罪の取り締まりを指揮してきたデラロサ上院議員が先月、米国入国を拒否されたことを受け、大統領は協定破棄をちらつかせていたが、それを実行したもの。米国は説得を続けていたという。比は先の大戦で日本から奪還した基地を米国が運用していたが、駐留米軍は冷戦終結や国民の反発などで1992年に全面撤退。南シナ海の領有権を争う中国と軍事的緊張が続き米比合同演習などを98年から再開。中国をけん制していた。

★周辺国との領土問題を抱え、国民の米軍駐留には沖縄県をはじめ、極めて不平等な地位協定などで苦しんでいることは日本も同様だ。また政府の考える米軍が撤退したら中国が進出してくる可能性という軍事的、地理的要因としてのけん制も比のそれと我が国は似ているといっていい。だが日本と比とどこが違うのか。政府の覚悟と強さだろう。比にできて日本にできない独立国としての外交とは何か。比に学ぶべきことは何か。与党や政府にできないのなら、沖縄県や野党は積極的に勉強すべきテーマではないか。(K)※敬称略