(政界地獄耳) どさくさ紛れ政府の仕掛けに監視を - 日刊スポーツ(2020年4月11日)

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新型コロナウイルスでの緊急事態宣言を受け、社会生活も変容し始めている。ネットには保育園の保護者が医療従事者の子どもは来させるなと言い出す。近隣で出た陽性者の名前を教えろと詰め寄る住民など寛容さを失い差別的に対応する人たちの行動が書かれ始めた。もっとも行政が営業自粛を言わずに客に夜の店に行くなというのも差別的で営業妨害のようなもの。今までない特別な緊急性のある事態ならば、その特異性を国民に伝えなくてはならない。

★10日朝、自民党本部で唯一の会合の自民党憲法改正推進本部は緊急事態対応の在り方について議論、より権限の強い法律への移行とその先の憲法改正を視野に議論された。背景には7日、首相・安倍晋三が「不十分となれば、新たな法制も当然視野に入れなければならない」とテレビで発言したからだ。また首相は「(この緊急事態対応で)警察の介入はない」としながらも「協力を要請する場合もある」とも。発言のベースには厚生行政と警察の関係がある。

★日本は1873年(明6)11月10日に設置され、1947年(昭22)まで続いた地方行財政・警察・土木・衛生・国家神道などの国内行政を担う内務省があった。内務次官、警保局長、警視総監は「内務三役」と呼ばれ、警保局が警察組織の源流だ。警察行政は内務大臣が掌握し、警視総監・府県知事を監督するが、その実務にあたったのが警保局。一方、内務省にあった社会局・衛生局が厚労省の前身。1938年(昭13)、衛生局と社会局が厚生省として分離独立。改めて考えれば、新型コロナウイルス感染者を追跡調査などコントロールするためには警察、地方自治体、厚労、そして新たにネットを加えた一元化した新内務省のような組織が必要というわけだ。緊急事態を強調してどさくさに紛れてさまざまな仕掛けを政府は繰り出してくる。国会や野党が機能するかが問われる。(K)※敬称略