<金口木舌>それでいい、それがいい - 琉球新報(2020年2月7日)

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プラカードを持った参加者が「武漢加油(頑張れ)!」と呼び掛けた。新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受け、中国・武漢市と友好都市の大分市で慈善イベントが開かれた。中国で不足しているマスクを送る取り組みも広がっている

▼インターネット上で排外的な言説もある中、助け合う動きも各地で出てきている。沖縄に対しても昨年10月の首里城焼失以来、支援の動きが全国に広がる
▼鮮やかな首里城を描いた年賀状に復興を願う言葉が添えられている。全国各地から届いた絵手紙だ。沖縄市役所で7日まで展示されている。2日に亡くなった沖縄絵手紙協会顧問の桑江良憲さんの作品もある
▼桑江さんは支援の絵手紙に感激し、展示会の準備に奔走した。「はがき1枚でも再建の力になれる」と語っていた。背景には2004年の新潟県中越地震の際、絵手紙で被災地を励ました経験がある
▼著書「愛を呼ぶ絵手紙」には、季節の花や沖縄の風景を描いた多彩な絵手紙が掲載されている。同書の座談会で桑江さんは「相手を思う気持ちが大事だ」と語っている
▼手紙や絵、筆を使うことに苦手意識を持つ人も多い。桑江さんは「それでいい、それがいい」と言い続けた。多様性を認め、手を取り合う。桑江さんの言葉には絵手紙の世界に限らず、これからの世の中をよりよく生きるヒントがあるように思える。

 

 

愛を呼ぶ絵手紙 ~私の随筆から~

愛を呼ぶ絵手紙 ~私の随筆から~