<金口木舌>「死にたくない」 教訓は届いているか - 琉球新報(2019年8月12日)

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夏祭りが各地で開催中だ。星空保護区に認定された石垣市の南の島の星まつりでは会場の明かりが消され、来場者が夜空を見上げた。坂本九さんの名曲「見上げてごらん夜の星を」も流れた
▼34年前のきょう、坂本さんを含む524人を乗せた日本航空ジャンボ機が群馬県上野村の山中に墜落した。少なくとも沖縄県出身者3人も搭乗し、520人が亡くなった。以前に壊れた箇所の修理ミスが墜落原因といわれる
▼航空重大インシデントは2001年以降に全国で180件発生し、このうち沖縄は10件。航空機同士の衝突の恐れがあった誤発着は那覇空港だけで昨年2件起きた。人的トラブルは後を絶たない
▼部品落下などで那覇空港の滑走路の一時閉鎖はたびたびあり、その影響で欠航もある。今年6月に機長からアルコールが検出され、羽田発宮古島行きが欠航した
▼軍民共用の那覇空港以外に米軍の普天間、嘉手納両飛行場もあり、沖縄の空は過密だ。那覇は第2滑走路を建設中だが、造っておしまいではない。事故の教訓は航空関係者に届いているのか。最優先は何よりも安全性だ
▼坂本さんの代表曲「上を向いて歩こう」の歌詞に「幸せは空の上に」とある。日航機墜落の現場で見つかった複数の遺書は記す。「子供よろしく」「死にたくない」「幸せな人生だった」。人間の不注意が多くの命と幸せを奪う。