(政界地獄耳) 安倍政治 言い換えという名のごまかし - 日刊スポーツ(2020年1月30日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202001300000142.html
http://archive.today/2020.01.30-010822/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202001300000142.html

予算委員会の答弁で「桜を見る会」を巡り首相・安倍晋三は「私は幅広く募っているという認識だった。募集しているという認識ではなかった」と謎の答弁を続け一般紙、テレビ・ラジオ、ネットで大騒ぎとなった。首相が漢字を読めないとか、言い換えとかさまざまな表現で首相の答弁を語っているが、この7年間の安倍政治の本質にはご自身の考えなのか、側近官僚たちの浅知恵なのか、印象操作を続けていた体質がある。首相は「募集ではなく募った」のだ。

集団的自衛権の行使を容認する安全保障法制を「平和安全法制」、南スーダンでの戦闘を「武力衝突」、「武器輸出三原則」は「防衛装備移転三原則」、「共謀罪」は「テロ等準備罪」、ヘリやオスプレイ墜落は不時着・着水、兵たん(武器弾薬の運搬)を防衛品移動とした。米国が求めるサービスや投資分野も含めた市場開放FTAは物品貿易協定(物品に限定した貿易協定)TAGに言い換えた。18年11月の参院予算委員会。この時首相は野党からの追及に「『FTAの一種ではないか』との意見は承知している。3文字で簡単に言えるものということでTAGにした」と開き直り説明責任を果たしている。

★公約違反や消費増税の延期を「新しい判断」、徴用工を朝鮮半島出身の労働者、移民を外国人材、カジノを統合型リゾート昭恵夫人のことを公人から私人に、反社会勢力や公用車の定義ができないと閣議決定したことも印象を和らげることが目的だ。この言い換えという名のごまかしが「募集でなく募った」も国民に伝わると期待したのだろうか。またメディアもここまでの誤用を目の当たりにしないとおかしいと気づかないのだろうか。今までのごまかしやすり替えに基づく印象操作をあきれながらも受け入れず、安倍政権用語を無視する覚悟が必要ではなかったか。ここまで来ればもう一過性の政治の話題とは言えない。(K)※敬称略