(政界地獄耳) 菅に任せたから 安倍首相「任命責任」わびて終わり - 日刊スポーツ(2019年10月29日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201910290000094.html
http://archive.today/2019.10.29-005117/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201910290000094.html

★「任命責任は私にあり、こうした事態になってしまったことに対しまして、国民の皆様に深くおわびを申し上げます」。首相・安倍晋三経産相菅原一秀の辞任を受け国民にわびたが、自らの政権で閣僚が辞任。任命責任を認めたのは既に9人目になるものの、その責任を取ったことはない。首相の責任とは何度繰り返されても、わびで終わりだ。「ただ、今回は今までにも増して悪いとも思っていない。なぜならばこの内閣の人事はほとんど官房長官菅義偉を軸とした人事構想を首相が受け入れた形だからだ」とは自民党関係者。

★別の政界関係者が言う。「失言で復興相・今村雅弘が更迭された時、今村は二階派だったが、後任は細田派の吉野正芳に派閥も変わった。当然、幹事長・二階俊博へのペナルティーもあったからだろう」。ところが今回、菅側近といわれる菅原を経産相に押し込んだのも菅、その後任も菅に近い梶山弘志が決まっている。首相ではなく菅の裁量ということになる。「ただ、首相はその責任も菅にあるという考えのようだ」(自民党関係者)。

★今回の内閣改造は閣僚の身体検査も大甘といわれている。確かに菅原の贈答や香典は文春砲が出る前にも報じられている。それはつまり身体検査にも引っかかっていたということだ。ところが今回の改造で首相が人事を決めたのは厚労相に再任された加藤勝信だけともいわれ、あとは菅任せとも。その分、即位の礼と饗宴(きょうえん)の儀の後、あわただしく認証式の日程を組むことも慶事に水を差す失態となる。それでなくとも菅と神奈川県連で面倒を見る防衛相・河野太郎環境相小泉進次郎への政界の風当たりも冷たい。首相は菅に任せたのに、菅に任せたためにこうなった、と菅への信頼に変化があるとすれば、この政権のバランスが崩れることを意味する。任命責任とともに適材適所が問われる。(K)※敬称略