(政界地獄耳)「目立つ」河野 西村起用のリスク - 日刊スポーツ(2021年1月20日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202101200000064.html

★首相・菅義偉新型コロナウイルスのワクチンについて、接種体制を整備するための担当閣僚に規制改革相・河野太郎を起用した。業務の内容はワクチンの保管や輸送、接種を受ける人との連絡など全国の自治体で接種を実施するための体制整備という。防衛相の経験もあり全体を動かす司令塔ということになる。この業務こそ縦割りでは通用せず、規制改革相としての能力を振るってもらうために、ポスト菅としても最近とみに人気の河野を据えたのだろう。

★任命を受けた河野は「まず、今、どういう準備状況になっているかという現状を各省からヒアリングするところから始めたい」とするが、14日に韓国の中央日報のインタビューを受け(掲載は18日)「ワクチンがあるからこそ五輪も可能」とした。首相にない発信力を持つ河野の起用は失敗した時の痛手も大きい。自民党内からは早速「緊急事態宣言を要請した首都圏自治体の知事や専門家会議の使い走りだった経済再生相・西村康稔の使い方と同じ。おだててつぶしていくやり方だよ。今、西村は所属する細田派内でも浮き始めている。河野も麻生派内から批判が出ている」。ハンコ担当が次はワクチンかとの陰口も聞こえてくる。

★確かに2人とも2世議員でたたき上げを自任する首相から見れば苦労なく上ってきたタイプの政治家。ましていずれも派閥を担うホープと目されている。2人とも「目立つ」ことが得意技で「誠実さ」が伝わるより失言、フライング、問題発言が弱点ともいえる。河野には副作用の責任をとらせ、既に五輪について発言したことがのちに命取りになりかねない。党内には「そもそも五輪までに国民にワクチンを打ち終わるのか」との声も。既に安倍・菅内閣厚労相加藤勝信を使い捨て田村憲久を配置させたが、西村をコロナ担当に据え、なお河野をワクチン担当相に。一体、首相はどこで先頭に立ってコロナに立ち向かっているのか。(K)※敬称略