(政界地獄耳) 首相増税「万全対策」も解散の余裕なし - 日刊スポーツ(2019年10月2日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201910020000098.html
http://archive.today/2019.10.02-005301/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201910020000098.html

★消費税が値上がりした。1日午前、首相・安倍晋三首相官邸で「(増税分を財源にして)子どもたちからお年寄りまで全ての皆さんが安心できる全世代型社会保障制度改革を進める。その大きな第1歩になる」と語り、増税の影響や混乱については「しっかりと注視し、万全の対策をとっていく考えだ」と述べた。一部には消費税増税よりも軽減税率対策が功を奏し、恩恵を受けるものが多いことから9カ月後の控除終了後に解散するよりも、早い方がいいと、来月下旬から年始にかけての解散を占うものまでいる。

自民党議員が言う。「都市部の購買欲に比べて、財布のひもが固くなっている地方と年配者には恩恵の前に混乱と難解な消費税との印象が強い。逆に控除終了に改めて混乱が起こるとすると、今の混乱と2度の混乱で国民は疲弊する。解散の可能性は野党対策ではあるが、自民党にもその混乱の責任は重くのしかかってくるはずだ」。確かに消費税増税は鬼門だ。89年の消費税導入時には自民党は大敗。12年、野田政権で10%の値上げを民主、自民、公明の3党合意で決めたときには与党の民主党は与党から転落、壊滅した。

旧民主党当時の野田政権幹部は言う。「結局、安倍政権になってから増税は2度見送られた。その都度、自民党は選挙に勝ってきたが、今回はそうもいかないだろう。同時にアベノミクスの成功など国民のだれも信じない。政権はデフレ対策に追われることになる。首相は万全の対策というがそんなものない。解散の余裕はないだろう」と政局を読み切る。加えてこれで民主党政権は10%増税の政策を実現。旧民主党政権時の呪縛が1つ消える。れいわ新選組代表・山本太郎らの言う減税政策もやっと議論の俎上(そじょう)に載せられることになる。自民党は正面から攻められると弱さを露呈する。この局面をどう切り抜けるか。安倍政治7年の経験が問われる。(K)※敬称略