(政界地獄耳)政治家には遠慮する東京地検 - 日刊スポーツ(2018年11月21日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201811210000163.html
http://archive.today/2018.11.21-012611/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201811210000163.html

★閣僚が政治とカネの問題など、社会面で扱われるようなニュースを率先して発信し続けている我が国の政治を、憂う人は多い。だがその解決は、難しいことではない。政治とカネの疑惑だったり、寝ぼけた発言をしたり、答弁能力がなかったり、閣僚としての資質が疑われている大臣を「適材適所」「全員野球」と胸を張って任命した首相・安倍晋三が、更迭すればいい話だ。ところがこの内閣は、総裁選で安倍陣営への論功があった者、また陣営を支援した派閥の推薦で入閣した者ばかりで、「無能程度でクビにできない政治的事情」(自民党中堅議員)という立派な理由がある。

★それに付き合わされている国民はたまったものではないが、適材適所か資質はあるかと野党が問うても、いつものように「任命責任は私にある」と言いながらも、のらりくらりで逃げようとするだろう。だが本当に我が国はこの程度で回っていく国家なのか。20年前の政治ならいざ知らず、このレベルの閣僚たちで内閣は成立するのだろうか。

★最近では自民党内からも「安倍政権の外交は負け戦ばかりだ」という声が出始めている。消費税の税率アップについても、過去2回は予算編成前に延期を決めているが、今回は増税を見越した予算編成をしている。無論、景気の減退の責任も、消費税増税見送りを決めても、首相はその責任を取らなくてはならない。ところが、都合の良いデータを並べて粉飾し続けている政権に忖度(そんたく)する霞が関は、政権がやりやすいデータの改ざんも平気で行う。すると「書き換えはしたが、改ざんではない」と理屈をこねる。

東京地検は民間企業の社長の立件には熱心だが、政治家の不正には随分と遠慮があるようだ。官僚の正義は変化するのかもしれない。だが国民の気持ちは、政権によって変わったりはしない。外交、経済、社会保障、安倍政権は一体国民に何をもたらしたのか。この政権は誰のための政治を進めているのか。いま1度閣僚の顔を思い出しながら、この国会を見つめていきたい。(K)※敬称略