【政界地獄耳】解散したい自民の妙な理屈 忘れさせてはいけない「減税は解散の大義」発言 - 日刊スポーツ(2023年10月3日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202310030000057.html

★どうやら自民党は解散したくてしょうがないようだ。総務会長・森山裕は先月24日のテレビ番組で臨時国会の時期について「10月召集が確定しているわけでない」と11月召集を示唆してみたり、小選挙区の「10増10減」で区割りが改定されたことを念頭に「選挙制度が変わったことも(解散の)1つの大義だ」と言い出すなど政局を混乱させる元凶だが、首相・岸田文雄が発表した新たな経済対策で「減税」が検討されていることを踏まえ1日、北海道北見市で講演した森山は「税に関することは国民の審判を仰がなければならない」と再び妙な理屈を言い始めた。

★この発言を国民は忘れてはならない。今まで「これから『増税』をしますからよろしく」と解散して選挙で国民に審判を仰ぐことなどあっただろうか。選挙後に増税論を急に持ち出してくることはあっても「減税」をするには国民に信を問わなければなどという理屈は巨大なブーメランを呼び起こす。今後は国民の信を問わない増税はできないことにもなる。首相の減税策もそもそも“偽減税”ではないかとの指摘もある。この政権は3カ月に1度、解散風を吹かせて政局を動かし、国民の注目を集めようとする。毎回うそばかりついていたら誰も信じなくなるものだが、解散・総選挙ばかりは、その構えを解くわけにもいかず、与党内も欺く場合すらある。

★9月30日、10月1日にTBS(JNN系列)が行った世論調査では首相の経済対策について、63%の人が「期待しない」と応えており、森山をはじめ、これからも観測気球がいくつも上がるだろう。ただ森山の減税は「解散の大義になり得る」「国民の審判仰ぐ必要」発言など、森山自身が責任なく放言しているが、この発言を各紙が記事にしたように、忘れさせるわけにはいかない。国民こそ「税に関すること」には極めて敏感なことを侮ってはいけない。(K)※敬称略