[大弦小弦] 愛犬の名は「スモウ」… - 沖縄タイムス(2019年5月27日)

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愛犬の名は「スモウ」。フランスのシラク元大統領は回想録に「相撲は人生の授業だった」とつづった。諦めない精神を学んだという

▼日本文化に対する深い理解で知られる。何度も観戦に訪れたが、土俵に立つことはなかった。病床にある今、トランプ米大統領がきのう土俵で大統領杯を授与したと知ったら何を思うだろう

夏場所千秋楽はトランプ氏一色だった。座布団を敷いて座るべき升席にソファが、土俵脇には階段がしつらえられた。表彰式ではかつて米航空会社の代表が「ヒョウショウジョウ」と日本語で読み上げたのと対照的に、トランプ氏は英語で通した

▼特別扱いは構わない。安倍晋三首相は令和初の国賓天皇会見と切り札をつぎ込む。接待の成果が貿易交渉敗北の数カ月先送りだけでないことを願うばかりだ

▼ところで、トランプ氏にこれほど柔軟な日本相撲協会は、「神聖」な土俵の「女人禁制」だけは守り通している。昨年、兵庫県宝塚市での巡業で中川智子市長の土俵上あいさつを拒んだ。市長が今年3月、女性の人権侵害だとして再び善処を求めると「話にならない」と激怒したという

▼国民の半分を舞台から排除する「国技」とは、「公益財団法人」とは何だろう。トランプ氏が「妻と土俵に上がりたい」と要望したら何が起きていたか、想像してみる。(阿部岳)