<金口木舌>石川文洋さん歩き旅 - 琉球新報(2019年5月27日)

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那覇市出身の報道写真家、石川文洋さん(81)が日本列島を徒歩で縦断中だ。昨年7月、北海道宗谷岬を出発し今月22日にフェリーで沖縄入りした。65歳で一度踏破し、今回は2度目の歩き旅だ

▼23日、本部町塩川から名護市安和まで同行させてもらった。刺すような日差しの中、石川さんの足取りは軽い。辺野古の新基地建設に用いる土砂が搬出される安和でカメラのシャッターを切り続けた
▼今回は福島第2原発の近くも通った。カメラを向けると警備員から「撮影は禁止、撮影データを見せるように」と迫られたという。ベトナム戦争の取材体験と重なった
▼沖縄で生まれ、本土で育った。1944年、千葉県の国民学校では母方の安里姓を珍しがられ「オキナワ」と呼ばれた。翌年、学校の配属将校から「オキナワ、お前の故郷は玉砕したぞ」と告げられ、その惨状を知った
▼歩きながら72年5月15日の話を聞いた。石川さんはその日、豊見城市の上田小学校で復帰に関する授業を取材した。黒板には「ふっきしてアメリカ軍はでていかない」「基地はそのまま残る」と児童の意見が記されていた
核兵器廃絶、戦争のない世界、基地のない沖縄。メッセージ入りのTシャツを着けて、石川さんは歩いた。「基地はなくならず新基地が造られようとしている。それを変えたい」。6月8日、ゴールの那覇市に到着する。