(政界地獄耳) 外国人観光客が増えただけでいいのか - 日刊スポーツ(2019年5月8日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201905080000112.html
http://archive.today/2019.05.08-011225/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201905080000112.html

★長い連休を旅の時間にあてた方も多いだろう。国内でも外国人観光客の多さに驚くとともに、日本人が観光地とは思わないような場所まで多くの外国人に楽しんでもらっているようだ。08年に観光庁が設置され日本は観光立国に向け国を挙げて動いてきた。来年の東京オリンピック、25年の大阪万博などの大都市を軸としたビッグイベントもさることながら各地方自治体の努力で海外からの観光客は増加の一途だ。政府観光局の数字によると今年3月の訪日観光客数は276万人余り(推定値)。政府の20年の来日観光客目標の4000万人が達成できるか否かが焦点といわれる。その意味では政府のインバウンド政策は成功としたといえる。

★一方でこの4月から移民政策ともいえる外国人労働者の受け入れが拡大された。人手不足を補うという目的でさまざまな労働力として外国人が求められたものの、大学が留学生を受け入れる中で留学生たちが集団で行方不明になるなど、極めてずさんで安価な労働力への偏重も目立つ。

★そしてもうひとつ、毎日新聞の指摘によると外国人在留者の子弟教育が問題化しているという。「日本の公立学校(小中高と特別支援学校)に通い、学校から『日本語教育が必要』と判断されたにもかかわらず、指導を受けられていない外国籍児らが全国で1万400人に上っている」という。日本語が分からず授業が理解できない「無支援状態」の児童生徒が、全国に広がっているというのだ。ちょっと来るだけのお金を落としていく観光客は大歓迎。いささか非合法でも安価な労働力となる外国人は歓迎。だが、さまざまな理由で日本に住む在留外国人やその子供たちへの教育は知らん顔でいいのか。一方、そこに手厚い保護を与えれば、今度は国内にある朝鮮学校への支援を拒む自治体は整合性も問われよう。いずれにせよ外国人受け入れに関して、つまり移民とそれに準ずる問題の総合的な全体像が描けていない中で、観光客が増えただけでは意味がないのではないか。(K)※敬称略

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外国籍児童・生徒1万人超が日本語「無支援」 - 毎日新聞(2019年5月4日)

http://web.archive.org/web/20190508011039/https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E5%A4%96%E5%9B%BD%E7%B1%8D%E5%85%90%E7%AB%A5%E3%83%BB%E7%94%9F%E5%BE%921%E4%B8%87%E4%BA%BA%E8%B6%85%E3%81%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%80%8C%E7%84%A1%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%80%8D/ar-AAATd9h?ocid=st