(政界地獄耳) 入管法改正 ちぐはぐすぎる政策 - 日刊スポーツ(2019年4月8日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201904080000157.html
http://archive.today/2019.04.08-003315/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201904080000157.html

★4月から改正入管法施行で外国人労働者の受け入れが拡大しているが、文化庁が日本語の習熟度を段階別に示す指標をつくる方針を、いまさらながら決めた。10年に国際交流基金が語学力の国際指標「CEFR(セファール)」をベースに6段階の「JFスタンダード」を実施、年間約100万人が受験する国内最大の日本語検定試験になっている。既に民間の日本語検定が多く存在するがJFスタンダードと連動しておらず、日本語を学ぶ側も雇う側も指標がないため混乱が続いているという。

★一方、日本語指導が必要な外国人児童の数は16年時点で3万5000人といわれているが、実態は児童だけでなくもっと多いはずだ。ところが東京福祉大学のように海外からの出稼ぎ目的の留学生を受け入れ行方不明となる事件が起きるなど、在留外国人の日本語教育はずさん。児童に日本語を教えていくにも行政の支援は薄く、期間が限られていたり、NPO任せの現実がある。また法整備も遅れている。本来は入管法改正前に整えておくべきことが、今になって慌てているというありさまだ。

入管法改正で外国人の就労者とそれに伴う外国人児童の存在は想定できたはずだ。日本に住む外国人は既に18年末で273万人を超えている。それに35万人を受け入れる体制などできていないし、多くの国民の善意では間に合わない状況だ。時を同じくして人手不足のコンビニの悲鳴が日本社会にとどろいた。24時間営業も外国人労働者や留学生頼みだ。しかし、時代は人間の代わりにAIを利用するネット決済などに移行しようとしている。コンビニだけの問題ではないものの、ともすれば人手不足は機械が解消し始める。それに経産省は一役買うという。なんとちぐはぐな政策なのだろう。法務省厚労省文科省、外務省と経産省は労働力について整合性の取れた政策はあるのだろうか。呼び込んだ外国人労働者と彼らを受け入れ就労準備に苦労する協力者たちは国の政策の被害者ではないのか。(K)※敬称略