【政界地獄耳】おもてなしの国…ほど遠い難民支援 - 日刊スポーツ(2022年4月8日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202204080000172.html

★6日付の各紙の見出しを並べてみると朝日新聞「見える貢献首相旗振り 国際社会や世論意識 専用機使用 公平性に疑問も」「『難民』ではなく『避難民』 政府『前例ない対応』」。毎日新聞は「仕事は 住居は 言葉の壁は 避難民 どう長期支援 20人来日 希望とマッチ 未知数 専用機『関与』アピール」。読売新聞は「異例 手厚い支援 政府『消極的』一掃図る」「近隣国 負担増 受け入れ長期化」「避難民と難民、違いは? 政府、人道配慮で受け入れ」とある。

★既に3月2日~今月2日までにウクライナから393人の避難民が入国しているが政府専用機で外相・林芳正が連れてきたのがこの20人だ。各紙の見出しはいずれも総花的で評価していいのか、悪いのかの判断さえつきかねるという中途半端なもの。明確な難民政策がなく世論の評価がはっきりしないまま新聞も様子見をしたとしか思えない紙面構成だ。ウクライナの隣国ポーランドには約247万人が流入しているという。むろん我が国もポーランドの難民支援はさまざまな方法で請け負っているのだろうが、この20人はいくら何でも桁が違うのではないか。日本は難民や政治亡命に対してきわめて冷たい。最近の入管施設の外国人への非人道的な扱いは東京オリンピック(五輪)のおもてなしの国のイメージとは程遠い鎖国体制を国民にも強く植え付けている。

★ほかの国々の入国者や先に入国しているウクライナ人との間で扱いに差異があってもいけないし、日本が求めているのは金持ちの観光客とスキルの高い外国人移民ばかり。普通の外国人の扱いはペリー来航以来、さして進歩していない。カネだけ出せばいいのではないと武器を取ることばかり声高に与党議員は言うが、彼らを手厚く保護し、規模を拡大する覚悟も必要と大手紙には踏み込んでもらいたかった。(K)※敬称略