[米兵 女性殺害事件]米軍は説明責任果たせ - 沖縄タイムス(2019年4月19日)

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米海軍兵が日本人女性を殺害した後に自殺したとみられる事件で、被害女性との接触を禁止する「軍事保護命令」(MPO)を適用されていた同海軍兵に対し、米軍が事件当日、外泊許可を出していたことが分かった。
衆院外務委員会で赤嶺政賢氏(共産)の質問に、外務省審議官が答えた。
海軍兵は事件前夜から女性と一緒にいたことが確認されており、翌朝に2人は遺体で発見されている。外泊許可が出ていなければ事件は防げた可能性がある。
関係者によると女性は、海軍兵にMPOが適用されたことを知り、これ以上の被害を受けないで済むと安心していた。そんな最中に事件は起きた。海軍兵が目の前に現れた時の、女性の驚きと恐怖は察するに余りある。
MPOは、DV(ドメスティックバイオレンス)の訴えや男女間のトラブルがあった場合に、憲兵隊(MP)や軍の上司が適用を決める。適用された場合は接触したり、電子メールや電話で連絡したりすることが禁止される。例えば、買い物先で偶然居合わせたとしても、後から来た方が店を出なければならないなど細かくルールが決められ、破れば罰則も科せられる。深刻なケースの場合は、外出禁止などの行動制限と並行して発令されることもあるという。
今回、女性に対するMPOが発令されている海軍兵に、米軍はなぜ外泊許可を出したのか。許可を出せば、海軍兵が女性宅へ行く懸念は当然あったはずだ。

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海軍兵の女性に対するストーカー行為や嫌がらせは昨秋ごろ始まった。女性は当時から友人たちに「米軍や県警に何度訴えてもやまない」と話し悩んでいた。昨年10月には女性宅で海軍兵による器物損壊の訴えを受けて沖縄署員が現場へ。今年1月に入ると海軍兵が女性宅に押し入り暴行するなど、事件に至る経緯はエスカレートしていくDVそのものだ。
MPO適用後いったんは姿が見えなくなった海軍兵だが3月下旬、再び女性宅周辺で目撃されたといううわさを聞き女性はおびえていたという。
米軍は事件直前の4月上旬、女性に対する暴行について県警が捜査を終えた後もNCIS(米海軍犯罪捜査局)による捜査を続けていたとする一方、今回、事件当日に海軍兵に外泊許可を出していた。米軍の説明は矛盾しており到底納得できない。

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他方、県警は事件後、女性からの訴えについて「わいせつ事案はあったものの、DVがあったかどうかは分からない」との見方を示している。度重なる嫌がらせや、自宅に押し入り暴行されたなどの訴えを「DVかどうか分からない」とする県警の判断にも大いに疑問が残る。
日米双方の捜査機関が関わりながら、事件を防げなかった責任は重い。
大切な命が失われた今、事件はなぜ防げなかったのか、同様の悲劇を防ぐにはどうすればいいのか。
米軍は、事件に対しての説明責任を果たすべきだ。