(政界地獄耳) どの党も勝者になれない統一地方選 - 日刊スポーツ(2019年4月10日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201904100000157.html
http://archive.today/2019.04.10-004721/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201904100000157.html

統一地方選挙の前半戦が終わり、21日投開票の後半戦に突入しているが、先の前半戦の総括がうまくできない。年々下がる投票率、なり手不足は全国的にまん延し、無投票当選は過去最多を更新していて首都圏でも増え続けている。加えて地方議員の政党への嫌悪が広がっていて無所属議員が各地で上位当選を果たしている。こうなると政党自体の在り方も考え直す時期に来ているのではないか。

★北海道知事選では野党が結集するも自民、公明の推す候補に歯が立たなかった。大阪の知事・市長選挙は強引な選挙戦に持ち込んだ維新に大義は見当たらなかったものの、非維新が結集しても維新が圧勝した。4カ所の保守分裂知事選挙も中央と地元、地元の国会議員と地方議員という具合に対立が深まって今後の選挙に禍根を残し、尾を引くことになる。数字上は自民党が堅調な結果を残したことになるが、すべての政党は地方議員の在り方、支援の仕方、選挙協力の方法、候補者の擁立も含め今までと違う感覚に陥ったことだろう。

★つまり、どの党も勝者になれず、混沌(こんとん)としてきているというのが実情だ。機関決定の在り方、付け焼き刃の候補者選定など政党による課題も多いが、NHK4月の世論調査では支持政党なしが40・7%とすべての政党支持を差し置きトップになっている現実を探るべきだろう。つまり地方自治では政党色は邪魔なものなのか。そもそも政党の縛りが自由な地方自治を阻害していると、候補者も有権者も感じているのではないか。党中央の幹部の開設が地方議会に響いているのか、有権者に届いているのかを問い、総括すべきだ。地方議会は定数ばかりが議論になるが、顔の見えない候補者との見方もある。政令指定都市の県会議員の役割も問う時期ではないか。課題は多い。(K)※敬称略