[大弦小弦]子どもが学び合い、支え合う。全ての子の学びを保障し・・・ - 沖縄タイムス(2019年2月14日)

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子どもが学び合い、支え合う。全ての子の学びを保障し、一人も取り残さない。そんな「学びの共同体」づくりに国頭村教育委員会が取り組んでいる

▼村唯一の中学校、国頭中の授業では教室の机を「コの字」型に並べ、生徒同士で向き合う。グループ学習での聴き合いを重視する。特別支援が必要な子も共に学び、授業に不参加の子をつくらない

▼教師は声を張り上げず落ち着いたトーンで話す。一方的にしゃべり続ける場面はない。答えを教えるのでなく、子どもの気付きを促し、探求心に火をつける

▼困難な環境で育ち、落ち着いて学べずにいた生徒が授業で級友と意見を交わす姿を、島袋賢雄校長が感慨深げに見守っていた。「あの子は変わりたいんです。まだ変われずにいる。でも、きっと変われる」。あふれ出す言葉に思いがにじんだ

▼多くの学校現場で残念ながら、子どもの理解度と関係なく一方通行で進む授業がある。特定の子ばかりが発言し、置き去りにされた子、意欲をなくした子は退屈そうに時間をやり過ごす

▼貧困や不登校の対策として各市町村で子どもの居場所が増えた。だが多くの子が毎日長時間を過ごす学校が居場所にならなければ、疎外感を抱く子、排除される子は減らない。学びは人間の内面を変える力がある。夢中になれる授業こそが有効な居場所になるはずだ。(田嶋正雄)