[コロナ休校]学習保障も両立させよ - 沖縄タイムス(2020年4月14日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/559830
http://archive.today/2020.04.14-004645/https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/559830

新型コロナウイルスの感染拡大で、学校の休校が続いている。やむを得ない面はあるが、終息は見通せず、授業を受けられないことによる学習面の遅れが心配される。特に懸念されるのは、家族の支援が得にくい子どもたちの「学ぶ権利」の保障だ。
県内の多くの小中高校は、3月に約2週間、春休みを挟んで、新学期から再び2週間の休校となり、その期間は約1カ月に及ぶ。県内は感染者の急増で「感染拡大警戒地域」へ移行しているとみられ、5月の大型連休明けまでさらに延長される可能性もある。
学校は文部科学省の標準授業時数を踏まえ、年間の指導計画を立てている。既に発生している前年度の未指導分に、新年度の未指導分が加わり、教育関係者は頭を悩ませている。


終息後、夏休みの短縮や補充授業の実施が想定されるものの、これだけ長引くと授業時間の確保は容易ではない。受験生や保護者から不安の声が上がるのは、休校中の取り組みが地域、学校、家庭によって大きく異なるからでもある。


一斉休校を受け、ネットに家庭学習のための教材や、教科の解説動画などが数多くアップされている。毎朝ホームページを更新し課題を出す学校、オンライン授業に乗り出す学校もある。
ただ遠隔学習をうまく機能させ成果を出すには、本人のやる気のほか、学校や家族のサポートが必要で、住宅や通信環境も影響してくる。
安全確保のためとはいえ、「学力格差」が広がらないか心配だ。


■    ■
総務省の2018年通信利用動向調査によると、世帯年収400万円未満では3割、200万円未満では5割近くがインターネットを利用できないでいる。都道府県別でも東京の88・4%に対し、沖縄は74・9%など、都市部と地方では開きがある。


パソコンやタブレットを使ったオンライン学習がにわかに注目を集めるが、その際、機材を貸し出すなど、経済的に厳しい家庭への配慮を忘れないでもらいたい。


学習意欲を維持するために大人が果たす役割は大きく、特に日中を児童生徒だけで過ごす家庭への目配りも必要だ。
親だけに負担を押し付けるのではなく、教師が小まめに学習の進展状況、生活の様子を電話で確認するなど、学ぶ権利の保障に注力してほしい。


■    ■
子どもの安全確保の課題は、コロナ対策だけに限らない。
親が先行き不安などでストレスを抱え、子どもと過ごす時間が増えると、児童虐待のリスクが高まるという。互いに相談相手も逃げ場もない状態では、問題はより深刻化する。
学校には子どもを守る「安全装置」としての機能もある。
気にかかる子については、困難ではあっても見守りを続けなければならない。感染防止対策を取った上で、家庭を訪問するなど状況把握に努めるべきだ。