(地獄耳)ずさん統計31件「重大問題なし」で済むか - 日刊スポーツ(2019年1月26日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201901260000089.html
http://archive.today/2019.01.26-003115/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201901260000089.html

★来週からの国会開会を前に厚労省による毎月勤労統計の不正調査問題が暗礁に乗り上げているという。野党幹部が言う。「統計法には罰則規定があるものの公訴時効期間は3年で発案者は処罰されない。この問題の不正追及を続けてもだれかを問えない場合もあり、政府にかわされてしまうのではないか」という。しかし、国の根幹をなすデータを法を犯して作成したのも事実。それにより2000万人余りに雇用保険などの支払い不足が生じ国民生活にも大きな影響を及ぼした。

★24日、総務省はこの問題を受け、特に重要な政府の56の基幹統計を点検した結果、7省22の統計で、延べ31件の不適切な処理があったと発表した。数値の誤りのほか必要な集計や公表をしていなかったものもあった。つまりいいかげんでずさんな作業を繰り返していたことになる。総務省は「調査手法の不正や国民生活に影響するような重大な問題はない」とするが、これだけのことをやっていて国民に影響はないとは恐れ入る。この基幹統計から2次統計を作成するのだから問題がないなどということを中央官庁が軽々にいうべきではない。

★政府統計が不正確であれば政策そのものが揺るぎかねない。政府や与党の政策も粉飾・偽装という形容詞が付きかねない。つまり信用を失ったのだ。公文書の書き換えが当たり前に行われていたことが昨年発覚。今度はずさんな基幹統計が明るみに。それでも責任は追及されず、さして処分もされずにうやむやにされていく。法律がこんないいかげんな作業を想定していなかったからだ。ただ、国民と世界中にいいかげんで適当でずさんなデータで近代日本社会を粉飾して演出していたことは知らしめられた。戦後、国際社会に復帰するために日本中が頑張った先達たちの努力を踏みにじり、誰からも信頼されない事態に政府はいささかのんきではあるまいか。野党は政府の答弁にこう質問すればいい。「その数字、書き換えてませんか、本当の数字ですか」。(K)※敬称略