(政界地獄耳)経団連会長の原発発言 - 日刊スポーツ(2019年1月4日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201901040000142.html
http://archive.today/2019.01.04-042110/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201901040000142.html

経団連会長・中西宏明は年頭会見で今後の原発政策について「日本のエネルギーの8割は依然、化石燃料で危機的状況にある。コストは高く世界から非難を浴び、再生可能エネルギーは日本には適地が少なく極めて不安定。太陽光も風力も季節性があり、次世代送電網のスマートグリッドも新しい投資が行われていない。打破しなければならない」。

★また「お客様が利益を上げられていない商売でベンダー(提供企業)が利益を上げるのは難しい。一方で、稼働しない原発に巨額の安全対策費がつぎ込まれているが、8年も製品を造っていない工場に存続のための追加対策を取るという経営者として考えられないことを電力会社はやっている。適切な安全対策を最初から織り込んだ原発は発電コストも高くないが、国民が反対するものをつくるには、原発建設の受け入れを前提に、どうするか真剣に一般公開の討論をするべきだと思う。全員が反対するものをエネルギー業者やベンダーが無理やり作るということは、民主国家ではない」と踏み込んだ発言をした。

★確かに中西は日立で英国での原発輸出に失敗したばかり。加えて反原発の機運は高まるばかり。年末には東京電力の旧経営陣3人が強制的に起訴された裁判で3人はいずれも無罪を主張しているものの「最高経営層にもかかわらず、何ら対策を講じなかった責任は極めて重い」と指摘され、3人に禁錮5年の求刑があったばかりだ。経営者として、そして財界として総合的に「間尺(まじゃく)に合わない」と分析をしながら公開討論が必要と問うたのは政権への配慮か。以前聞いた電力関係者の言葉がよみがえる。「技術者たちは安全には自信を持っている。だが信頼・信用が取り戻せない」。エネルギー政策の転換期になるか。(K)※敬称略