(政界地獄耳) 原発マネー、倫理も正義も治外法権!? - 日刊スポーツ(2019年10月4日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201910040000209.html
http://archive.today/2019.10.04-073541/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201910040000209.html

原発を巡りノーと言える人と言えない人の明暗がくっきりと浮かぶ。東北電力女川原発から30キロ圏にある宮城県美里町長・相沢清一は朝日新聞のインタビューに答え「やはり再稼働はするべきでないと思う。福島の原子力事故から8年半たった今も大勢が避難している。女川原発の30キロ圏内の住民はもとより、宮城県民が原子力の安全性を本当に信頼して再稼働に踏み切るのか、心配がある。特に宮城は『農業県』なので事故はあってはならない。もし国が認めても『ノー』と言わざるを得ない。私たちには住民の命を守る責任があり、万が一の時にはその責任がとれないからだ」。

★政治家として町長として立派な発言だ。相沢でなくとも、国が安全だと言ったところで何かあればその責任は現場の町長に及ぶ。慎重になるのは技術的な安全だけではない。福島原発の事故では東京電力や国は事態を絶えず隠蔽(いんぺい)し、発覚してから公表まで時間をずらすなど住民や国民に不誠実に対応してきた。また事故とさまざまなその後に起こった事象との因果関係にも不誠実に対応してきた。つまり、技術の安全宣言よりも信頼関係があるか否かの方がずっと重要でもある。

★一方、関西電力の経営陣の対応が社会常識と乖離(かいり)している問題。同社の幹部ら20人が福井県高浜町の故人の元助役から受け取ったとされる3億2000万円相当の金品を断るすべはなかったと説明。幹部らは一様に、怖くて言えないとか、その原資はどこからのものかと考えなかったの問いに、1度も考えなかったと答えている。原発に万が一があってはいけないと町長は体を張って住民を守ろうとしているが、関電幹部は数億円の金が助役から行ったり来たりすることを迷惑だとは感じていたものの、そういった金が飛び交うことに全く注力していないさまが幾度かの会見で垣間見える。原発マネーには調整費や賄賂、裏金が常識で支払うべき側が、金品を受け取る異常なロンダリングが通常行われていたことを示唆するとともに、この金に違和感すら感じていない。倫理観も正義感、透明性、そのすべては原発という国策の前では治外法権だといわんばかりだ。今日からの国会で少しは解明されるのだろうか。(K)※敬称略

 

関連)

「もし国が認めてもノー」 女川原発再稼働に反対の町長 - 朝日新聞(2019年9月22日)

http://web.archive.org/web/20191002133536/https://www.asahi.com/articles/ASM994DFMM99UNHB00B.html

原発再稼働切迫で関係悪化恐れる - NHK(2019年10月2日)

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20191002/2000020705.html
http://archive.today/2019.10.03-030803/https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20191002/2000020705.html

関西電力の岩根社長は前回の記者会見で去年、外部の弁護士を入れた調査委員会を社内に設置して調査した結果、金品の受領について「不適切だが違法ではないと判断された」と強調し、問題を公表しなかった理由にあげていました。

この調査委員会について関西電力は1日、元検事の小林敬弁護士が委員長を務めたことを明らかにしました。
小林弁護士は大阪地検特捜部の部長などを歴任したのち平成22年に大阪地検トップの検事正に就任しましたが、この年に発覚した大阪地検特捜部の証拠改ざん事件で監督責任を問われ、辞職しました。
その後は大阪弁護士会に登録し、企業の監査役などを務めています。

 元助役聞き取りせず、関電調査委 - 西日本新聞(2019年10月2日)

http://archive.today/2019.10.04-074414/https://www.nishinippon.co.jp/item/o/547993/