長野刑務所 受刑者高齢化 介護スタッフを採用 - 信濃毎日新聞(2018年12月30日)

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20181230/KT181228FTI090011000.php
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長野刑務所(須坂市)で60歳以上の受刑者の占める割合が17・2%、70歳以上の割合が6・5%に上り、ともに記録が確認できた2009年以降で最も高くなったことが29日、同刑務所への取材で分かった。認知症とみられる症状がある受刑者も11人おり、同刑務所は7月、ホームヘルパーの資格を持つ介護専門スタッフ1人を初めて採用。設備の一部バリアフリー化も進めるなど受刑者の高齢化への対応に追われている。
同刑務所の受刑者数は、今年11月末時点で男性のみ891人で、このうち60歳以上は153人。09年末時点は107人だったが、その後は多少増減はあるものの微増傾向にある。70歳以上は今年11月末時点で58人。09年末時点の26人から倍増した。
認知症と診断された受刑者はいないものの、11人に認知症とみられる症状がある。4畳(約6・5平方メートル)ほどの居室内を長時間歩き回ったり、物忘れが激しかったりするという。
こうした受刑者に対応するため、同刑務所は新たに介護専門スタッフを採用した。食事や着替え、入浴といった日常的な動作が困難な高齢受刑者の介護を担当。ただ、専門スタッフは週に3日程度の非常勤のため、出勤日以外は刑務官による介護が必要になるという。
このほか高齢受刑者が作業に取り組む刑務所内の「養護工場」では、転んだ際のけが防止のために厚手のカーペットを整備。温水洗浄便座機能付きのトイレや、手洗い場の手すりを整備するなどバリアフリー化も進めている。
受刑者の高齢化は全国で進んでいる。法務省犯罪白書によると、16年の1年間に全国の刑務所に入所した65歳以上の高齢者は2498人で、入所者全体の12・2%。07年から600人以上増え、割合も6ポイント上昇した。
長野刑務所の連功(むらじいさお)庶務課長(45)は「刑務所は社会の縮図」と強調。一般社会の高齢化が反映しているとし、「将来的には寝たきりの受刑者の介護が必要になる可能性も否定できない」としている。