(政界地獄耳)マイナンバーカード普及が進まぬ理由 - 日刊スポーツ(2018年12月26日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812260000128.html
http://archive.today/2018.12.26-045202/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812260000128.html

マイナンバーカードの普及率が伸び悩んでいる。別にカジノに入る時の身分証明書に使えるとうたわれてもほとんどの国民にはありがたさにつながらない。総務省は7月現在、日本住民の11・5%しか所持していないと発表した。16年の制度開始以来国民の信頼を得られているとは言い難い。免許証で事足りる、住基カードを持っているからなどの理由から不要と感じる人も多いだろう。住基カードは作成に数千円かかるがマイナンバーは無料でできる。それなのに普及しない。

総務省のホームページを見るとマイナンバーカードのICチップには地方税関係情報や年金給付関連情報などプライバシー性の高い個人情報は記録されないとある。一方で個人情報が満載なのでむやみにコピーなどしてはいけないとしながら、税申告などでコピーの提出を強要される。いずれにせよ、個人情報が詰まっているマイナンバーカードは簡単に人に見せたりコピーさせるものではなく、安易な情報の漏えいを防ぐよう再三の注意が記されている。

国税庁は14日、東京、大阪両国税局からデータ入力を委託されていた業者がマイナンバー法が禁じている別業者へ繁忙を理由に下請けに出していた。マイナンバーなど個人情報が含まれる約70万件の書類を流していたと発表した。国税庁は「納税者におわび申し上げる」としている。あれだけ情報の管理には気をつけろと国民に喚起しながら結局、国税庁が漏えいの元締めだったという話だ。下請けなど委託業者は法に基づき処分されるだろうが、国税庁のホームページを見ても国民にわびのひとつもない。それどころか役人はおとがめなしなのではないか。このちぐはぐな説明と対応に不要論を感じる人も多いだろう。誰も責任を取らない体質の好例だ。(K)※敬称略