【政界地獄耳】マイナンバーの混乱続く中、10月から導入インボイスも火種になること必至か - 日刊スポーツ(2023年6月29日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202306290000044.html

自民党元幹事長・石原伸晃が次期衆院選をあきらめ参院に鞍替えするなど、選挙戦目前のニュースがひしめくが、肝心の解散・総選挙を期待した多くのメディアが、会期末の解散などという妄想にかられて大騒ぎをし、次は秋解散だといったものの、そんな記事はとんと見えなくなった。現実的には任意であるはずのマイナンバーカードの混乱が収まらない。ことに健康保険証の廃止は任意のカードの強制につながるものだし、既に現場での混乱は収拾がつかない状態だ。

★日経の世論調査では政府対応は「不十分」が76%。共同通信の調査では7割が保険証廃止に反対だ。マイナンバーカード推進派の宮城県知事・村井嘉浩は26日、「国民が不安に思っている以上は丁寧な対応が必要。国民の声をよく聴いて、開始時期をよく考えてほしい」と言い出した。それに加えて今月6日のデジタル社会推進会議(議長・首相・岸田文雄)で非対面での銀行口座の開設や携帯電話の契約の際、本人確認の手段をマイナカードに一本化するとし、運転免許証や顔写真のない書類での確認は「廃止する」とした。任意のカードがないと社会の一員とみなされないのだ。マイナンバーカードと運転免許証とどちらが本人確認に安全性、安定性があるかは連日の報道を見れば明らかだろう。

★10月1日から導入のインボイス制度も火種のひとつになる。立て付けは消費税の納税の不正やミスを防ぎ、仕入税額控除の算出を容易にすることだが、免税事業者に対して消費税分が値引きされたり、消費税を納税する可能性など、下請け業者いじめが横行しやすい環境が生まれる危惧が大きい。制度設計が甘く税収欲しさにまじめな納税者が苦しめられる可能性が強い。そして防衛費増強の内訳が出そろう。このために増税が来るのかと示されながら解散になるのだろうか。健康保険証廃止の停止とインボイスの見直しぐらいは言わないと収まらないこと必至といえる。(K)※敬称略