プーチン氏「日本の決定権に疑問」 北方領土と米軍基地 - 朝日新聞(2018年12月21日)

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ロシアのプーチン大統領は20日に開いた年末恒例の記者会見で、ロシアが北方領土を日本に返した場合に米軍基地が置かれる可能性について、「日本の決定権に疑問がある」と述べた。安倍晋三首相はプーチン氏に北方領土には米軍基地を置かない方針を伝えているが、プーチン氏は実効性に疑問を呈した形だ。

北方領土交渉と日米安保条約に関する共同通信記者の質問に答えた。

プーチン氏は、米軍基地問題について「日本が決められるのか、日本がこの問題でどの程度主権を持っているのか分からない」と指摘。「平和条約の締結後に何が起こるのか。この質問への答えがないと、最終的な解決を受け入れることは難しい」とし、北方領土に米軍基地が置かれる可能性を含め、日米安保体制がもたらすロシアの懸念が拭えていないとの認識を示した。
日本の決定権を疑う例として沖縄の米軍基地問題を挙げ、「知事が基地拡大に反対しているが、何もできない。人々が撤去を求めているのに、基地は強化される。みなが反対しているのに計画が進んでいる」と話した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐる問題を指した発言だ。
プーチン氏は、日本が米国から導入を計画する陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」についても、日本の防衛システムではなく「潜在的に米国の戦略核の一部だ」として導入に懸念を示した。
ただ、「平和条約のない現状が正常でないことは双方とも十分に認識している」とし、「我々には正常化が極めて重要だ」と平和条約の交渉には意欲をみせた。
日本外務省関係者は20日夜、プーチン氏の発言について、来年1月の日ロ首脳会談を前に日本側を牽制(けんせい)したとの見方を示した。防衛省幹部はイージス・アショアへの発言について、「ロシア側には日本の防衛のためのものだとこれまでも伝えてきている」とし、「意図が理解できない」と述べた。
一方、日本政府関係者は20日、河野太郎外相とロシアのラブロフ外相による平和条約交渉を来年1月14日にモスクワで行うことを明らかにした。首相とプーチン氏は今月1日の会談で両外相を交渉責任者、森健良外務審議官とモルグロフ・ロシア外務次官を交渉担当者とすることで一致していた。(モスクワ=喜田尚)