改正入管法成立 外国人単純労働にも - 毎日新聞(2018年12月8日)

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20181208/k00/00m/010/023000c
http://archive.today/2018.12.08-012406/https://mainichi.jp/senkyo/articles/20181208/k00/00m/010/023000c

外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案は8日未明の参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立した。野党は慎重審議を求めたが、与党は採決に踏み切った。来年4月1日の施行予定で、事実上、単純労働を含む分野でも外国人労働者を受け入れる、政策の大転換となる。政府は介護や建設など14業種で検討し、今後5年間の受け入れ規模を「最大34万5150人」と試算している。
今回の改正は、一定の知識や経験が必要で家族を帯同できない「特定技能1号」(通算5年まで)と、より熟練した技能が必要で、家族の帯同を認める「特定技能2号」(在留期間更新可)という新たな在留資格を設けることが柱だ。
改正は受け入れ分野や5年間の受け入れ上限人数など詳細な制度設計を盛り込んでいない。これらは法務省が年内に策定する「分野別運用方針」に盛り込む。政府は地方自治体の相談窓口の一元化や医療機関の態勢整備など受け入れに向けた総合的な対応策も年内にもまとめる。
参院法務委は改正案の採決に伴い、「分野別運用方針」に明記する受け入れ人数を上限として運用することを求めるなど10項目の付帯決議を自民、公明、国民民主、維新などの賛成多数で採択した。
立憲民主党など野党5会派は成立を阻むため、入管法を所管する山下貴司法相の問責決議案を7日午後、参院に提出したが、改正案採決に先立つ同日夜の参院本会議で、与党などの反対多数で否決された。野党はさらなる採決引き延ばしを図るため、安倍晋三首相の問責決議案を参院に提出したがこれも否決された。
参院は7日午前からの本会議で、立憲など野党5会派が共同提出していた横山信一法務委員長(公明)の解任決議案を与党などの反対多数で否決。続いて、立憲と希望の会(自由・社民)が共同提出した堂故茂・農林水産委員長(自民)の解任決議案も同様に反対多数で否決した。
同日午前からの本会議で、与党の議院運営委員会の理事が野党理事に暴言を吐いたなどとして野党は猛反発。与野党が断続的に協議し、審議は与党の当初見通しから5時間以上遅れた。
参院法務委での審議時間は20時間45分。衆院法務委での審議を合わせても近年の重要法案を下回る38時間にとどまっている。【松倉佑輔、遠藤修平】