(大弦小弦)法務省の英語表記は「ミニストリー・オブ… - 沖縄タイムス(2018年11月22日)

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法務省の英語表記は「ミニストリー・オブ・ジャスティス」。直訳すれば「正義の省」となる。自ら正義を標榜(ひょうぼう)する責任は重い

▼失踪した外国人技能実習生の調査結果に誤りがあった、と法務省が訂正した。最多の失踪動機は「より高い賃金を求めて」が87%としていたが、「低賃金」が67%と改めた

▼月10万円以下の給与が半数以上で、暴力や嫌がらせの訴えもあった。違法な労働条件に耐えかねたと思われる事例が多いのに、私利私欲で逃げたと誤解を招くような表現にわざわざ変えていたことになる

▼意図的な改ざんでなく、表計算ソフトの操作ミスと弁解する。働き方改革森友・加計学園問題も含め、常に政権に有利に働くよう「意図的でない」ミスが起こる。やはり納得いかない

▼聴取票には月収9万円で週130時間、縫製工場で働いたベトナム人女性の例もあった。時給にして173円、休日なしで毎日18時間半の労働。「現代の奴隷制度」の悪名は決して大げさではない

入管難民法改正案で、法務省は受け入れる外国人労働者の半分を技能実習生からの移行と想定する。だが優先すべきは、調査結果が示す現制度の違法な雇用実態を正すことではないか。多くが失踪せざるをえない現状を放置したままの新制度などありえない。「正義の省」が不正に加担する国であってはならない。(田嶋正雄)