東電和解案拒否相次ぎ抗議声明 - NHK福島県のニュース(2018年11月12日)

https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20181112/6050003403.html
http://archive.today/2018.11.13-100119/https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20181112/6050003403.html

相馬市の住民が慰謝料を求めて行った集団申し立てで、東京電力は国の紛争解決センターが示した和解案の受け入れを拒否する回答を示しました。
ほかの申し立てでも拒否を続けている東京電力に対し、住民側の弁護団は抗議の声明を出しました。

この申し立てでは相馬市玉野地区の住民ら419人が、避難指示区域と同じ、1人あたり月10万円の慰謝料を求めていました。
国の「原子力損害賠償紛争解決センター」は、先月、1人あたり合計で最大20万円を賠償するという和解案をまとめ、住民側は金額は少ないものの、恵まれた自然の中での生活が根底から覆されたことが認められたなどとして受け入れることを決めました。
一方、東京電力は今月9日、玉野地区特有の事情はないなどとして、受け入れを拒否したということです。
東京電力浪江町飯舘村の住民による集団申し立ての和解案にも拒否を続け、ここ数年、センターによる和解の手続きが打ち切りとなるケースが相次いでいます。
弁護団は「中立で公平なセンターの和解案を加害者である東京電力が拒否し続けていて、このままではセンターの存在意義が無くなりかねない。被害の実態を直視しない、身動きのとれない損害賠償実務が定着することになりかねない」などとする抗議の声明を出しました。
玉野地区の住民代表の伊藤一郎さん(71)は、「悪いことをしていない住民が加害者から拒否されている」と話していました。
ふくしま原発損害賠償弁護団の平岡路子弁護士は、「最低限の賠償を決めたとされる国の中間指針の底上げにつながらないよう、一律の賠償に応じていないのではないか。拒否しても、強い批判にさらされないことを見越しているように感じる」と指摘しました。
ふくしま原発損害賠償弁護団の抗議声明について、東京電力は「仲介案の尊重という約束に沿って、多くの案件を受け入れてきた。その考えに変わりはなく、今後も、誠実に対応していきたい」とコメントしています。