自民党 下村氏憲法審幹事辞退へ 野党「職場放棄」発言で - 毎日新聞(2018年11月13日)

https://mainichi.jp/articles/20181114/k00/00m/010/116000c
http://archive.today/2018.11.14-020950/https://mainichi.jp/articles/20181114/k00/00m/010/116000c

10月に自民党憲法改正推進本部長に就任した下村博文氏が、国会の憲法審査会の早期開催に応じない野党を「職場放棄」と批判し、窮地に立たされた。衆院憲法審は定例日の15日も開かれない見通し。下村氏は内定していた憲法審幹事を辞退する意向を固めた。
安倍晋三首相は衆院憲法審の与党筆頭幹事に新藤義孝総務相、幹事に下村氏と「腹心」2人を起用し、改憲論議の加速を狙っていた。下村氏は委員として出席する方向だが、幹事を外れると審査会の運営には直接関与できない。自民党は今国会で戦術の見直しを迫られそうだ。
衆参両院の憲法審は週1回しか定例日がなく、次第に12月10日の会期末が迫る。自民党は、憲法改正手続きを定めた国民投票法改正案を呼び水に憲法審を動かし、同党の改憲条文案を他党に説明する段取りを描くが、今のところ机上の空論にとどまっている。
そうした中、問題発言は9日、TBSのCS番組収録で飛び出した。今国会で憲法審が一回も開かれていないことへの不満から、下村氏は「率直に議論さえしないなら国会議員として職場放棄ではないか。高い歳費をもらっているにもかかわらず、職場を放棄していいのか」と野党を批判した。
これで野党は一層態度を硬化させた。立憲民主党など野党6党派の衆院憲法審幹事らは13日、国会内で会談し、下村氏の謝罪がなければ日程協議に応じないことを確認。野党筆頭幹事の山花郁夫氏(立憲)は新藤氏との電話で、15日の開催は「けじめをつけてもらわなければ難しい」と通告した。
自民党からも下村氏への批判が噴出している。自民党二階俊博幹事長は12日の記者会見で「本人の責任で何をおっしゃっても結構だが、野党にものを言う場合は、慎重の上にも慎重であってもらいたい」と突き放した。新藤氏は「厳に慎んでほしい」と下村氏を注意した。
下村氏が審議を急ごうとしたのは、首相の意向をそんたくしたからだ。ただ、下村氏が議論を主導することには当初から「下村氏はほとんど国会対策をしたことがない」(閣僚経験者)という不安がささやかれていた。
公明党山口那津男代表は13日の会見で「かえって議論が進まない状況を作ってしまう」と下村氏に苦言を呈した。ただ、改憲に慎重な同党からは「憲法審は遅れてもかまわない」(幹部)という本音も漏れている。