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米海軍のFA18戦闘攻撃機がエンジントラブルのため南大東島の南西約140キロの海上に墜落した。1972年に沖縄が日本に復帰して以降、沖縄の陸域・海域で起きた米軍機の墜落は今回を含め50件に上る。
事故が起きるたびに、県や県議会、市町村議会が日米両政府に対して厳重に抗議し再発防止を求めてきたが、墜落は後を絶たない。
米軍はこれまで、事故を防ぐためにどのような手だてを講じてきたのか。県民の抗議を聞き流し、無為無策のまま拱手(きょうしゅ)傍観してきたのではないか。そうでなければ毎年1件以上のペースで墜落するなど考えられない。
県の資料によると、沖縄周辺には米軍の訓練水域が27カ所、訓練空域が20カ所設定されている。戦闘機がわが物顔に飛行を繰り返している現実がある。これらの区域を管理しているのは米軍だ。沖縄の過重な基地負担は、何も陸上だけに限ったものではない。
頻発する墜落事故を減らすには訓練空域・訓練水域を解除し、演習をやめさせることが最も効果的だ。政府は、米軍戦闘機が国民の安全を脅かしている実情を深刻に受け止め、広大な訓練区域を段階的に返還するよう米国に求めてもらいたい。
今年6月には米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が飛行訓練中に那覇市の南方約80キロの海上に墜落し、操縦士が重傷を負った。その際、米軍は事故原因を特定しないまま飛行再開を強行している。そんな米軍の野放図を許してきたのが日本政府だ。不作為の罪は重い。
今回のFA18のエンジントラブルの原因は何か。整備不良に起因するのか。そうであるなら、具体的にどのような点検ミスがあったのか。有効な防止策はあるのか。
日本の海、空で訓練をしている以上、米国はこれらの疑問に一つ一つ誠意をもって答える道義的責任がある。事故原因を特定し実効性のある予防策とともに公表しない限り、飛行を認めるわけにはいかない。
原因もよく分からないのに飛び続けることは国民、県民だけでなく、乗員の命を危険にさらす。今回操縦士ら2人が緊急脱出し救助されたのは不幸中の幸いだった。人命尊重の見地からも同型機の飛行は直ちに停止すべきだ。
墜落機は、第7艦隊に配備され横須賀を母港とする原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機だった。墜落現場付近の訓練区域では今月30日まで米軍が射撃訓練を実施する予定で、船舶の立ち入りが禁止されている。
FA18は、米軍普天間飛行場や嘉手納基地にもたびたび飛来し、訓練に参加している。エンジントラブルが陸域近くで発生すれば大惨事を引き起こしかねない。
政府は、毅然(きぜん)とした態度で米国に抗議し実効性のある再発防止策を求めるべきだ。