同一労働・賃金の指針案 基本給の差 是正は限定的 - 東京新聞(2018年11月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201811/CK2018110502000119.html
http://web.archive.org/web/20181105000929/http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201811/CK2018110502000119.html


厚生労働省は、正社員と非正社員の不合理な待遇差を是正する「同一労働同一賃金」を巡り、問題となる格差の具体例を示すガイドライン案をまとめました。パブリックコメント(意見公募)を今月中旬まで実施した上で、年内に正式に公表する予定です。正社員と非正社員の格差は縮小されるのでしょうか。 (編集委員・上坂修子)

Q 正社員と非正社員の待遇差は大きいのですか。

A 非正社員の賃金水準は正社員の六割弱にとどまります。パートや有期契約の非正規で働く人は二千万人を超え、労働者全体の約四割まで増えているので、政府は格差を是正したいと考えています。

Q どのくらいまで格差を縮めたいの。

A 「欧州並み」の八割程度に縮める目標を打ち出し、不合理な待遇格差の禁止を盛り込んだ「働き方」関連法が先の通常国会で成立しました。大企業と派遣社員は二〇二〇年四月、中小企業は二一年四月に実施されます。その前に、どんな場合に違法となるかを示すのがガイドラインです。

Q 具体的な内容は。

A 有期契約社員やパート、アルバイトの場合、時間外労働手当や通勤手当、出張旅費などの手当は正社員と「同一の支給」を求めています。慶弔休暇の取得や食堂、休憩室の利用など福利厚生でも、同じ待遇にすべきだとしています。

Q 賃金の大きな比重を占める基本給については。

A (1)能力や職業経験(2)業績・成果(3)勤続年数−の要素ごとに評価し、評価が同じならば同水準、違いがある場合は違いに応じた支給としています。能力や職業経験に客観的な評価基準はないので、是正の効果は限定的だとの見方が強いですね。賞与に関しても、業績への貢献に応じた支給とし、違いを認めています。

Q 派遣社員に関してはどうですか。

A 有期契約やパートと同様の方式が原則です。派遣会社が労働者の過半数と労使協定を結べば、賃金などの待遇を決められる仕組みもあります。この場合、派遣社員の賃金が「同種の業務で働く一般労働者の平均額を下回らない」という条件が付いています。