(余録)小学校や中学校が統廃合で減り続けている… - 毎日新聞(2018年11月4日)

https://mainichi.jp/articles/20181104/ddm/001/070/176000c
http://archive.today/2018.11.04-011524/https://mainichi.jp/articles/20181104/ddm/001/070/176000c

小学校や中学校が統廃合で減り続けている。平成元年の1989年には小中学校は計3万6115校あったが、今年は計3万162校になった。生まれてくる子どもが減り続けているためだ。
もう一つ、学校減少の要因になりそうなのが不登校の増加である。文部科学省によると、2017年度に年間30日以上欠席した「不登校」の児童・生徒(高校生を含む)は前年度比6・3%増の19万3674人で過去最多となった。
92年の旧文部省通知で、フリースクールなどに通えば出席扱いされるようになってから、学校に来ない子は増えた。学校に行きたくない子どもには救いとなった。だが、学校への復帰が前提の制度だったため、再び登校を強いられて傷つく子も多かった。
最近は家庭の貧困と孤立が不登校の背景にあることも指摘される。虐待やネグレクトのために生活習慣が身につかず、勉強についていけない子が増えている。いじめにあい、学校に適応できず、不登校になるという。
「先生は自分が担任をしている年度内に問題解決をしようと急ぐ」「クラス全員を見なければいけない先生に余裕はない」。困窮家庭の子を支援している専門家らは学校復帰の難しさを強調する。
昨年、文科省フリースクールなどを積極的に容認する方針を打ち出した。無理に学校に来なくてもよいという大転換だ。学校は数が減るだけでなく、唯一絶対の存在ではなくなりつつある。「不登校」という言葉が使われなくなる日が来るかもしれない。