<金口木舌>「社会に役に立つ仕事をしたい」と考える若者が一昔前に比べ増え・・・ - 琉球新報(2018年8月28日)


https://ryukyushimpo.jp/column/entry-791917.html
http://archive.today/2018.08.27-235251/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-791917.html

「社会に役に立つ仕事をしたい」と考える若者が一昔前に比べ増えているという。哲学者の内山節さんは「修業と貢献に意味を見いだす日本の伝統的な労働観が回復しつつある」と分析する

▼技量を身に付け、いつかお返しするとの労働観だ。農民の考え方が職人や商人にも重んじられるようになったそうだ。ホームページ制作の琉球オフィスサービスが児童養護施設への支援を始めて3年目になる
▼高3までしかいられない施設を出て、進学する生徒の住居費を毎月4万円まで支援する。顧客の協力も得て、本年度は10人分、480万円を負担中。従業員は約30人で多くに子どもがいる
▼同じく子育て中の藤本和之代表が仕事で養護施設に関わり「いつも親に甘えられる子どもとの不公平」を知ったことがきっかけ。感じた「後ろめたさ」が根本にあると打ち明ける
▼「だから社会貢献というより、やりたくてやっていること」と飾らない。独り立ちせざるを得ない養護施設の生徒は高等教育への進学率が低い。夢をついえさせない活動で、社会貢献に他ならない
公民権運動を指導したキング牧師が「私には夢がある」と講演したのは55年前のきょう。差別撤廃と自由の実現に向け、世界は少しずつ進んできた。「社会に役立ちたい」と夢を抱き、高等教育を希望する全ての生徒が進学できる社会はいつ実現するだろうか。