<金口木舌>未来への「航海」 - 琉球新報(2019年9月15日)

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「人生は コウカイという 船旅で 先へ進めど 後には戻れぬ」。沖縄少年院の院生の短歌に目が留まった
▼沖縄少年院・沖縄女子学園は2018年7月に沖縄市から糸満市真栄平に移転した。矯正教育や支援について理解を深めてもらおうと、8月に糸満市役所で初めて展示会を開いた。短歌や作文なども並んだ
▼沖縄少年院は、戦争の悲惨さや命の貴さを学んでもらうため、県平和祈念資料館と連携して平和教育に力を入れている。近隣の公園の清掃や福祉施設の環境整備など地域貢献にも積極的だ
▼沖縄女子学園は、殺処分予定だった犬・マチを園生がトレーニングし、飼い主を探す「3Re―Smile(スリースマイル)」プロジェクトを実施した。園生はマチと信頼関係を築き、新しい家族に命のバトンをつないだ
▼全国の少年院でもさまざまな取り組みがある。長野県の有明高原寮では長年、地域住民との運動会を開催している。FC東京はことし、少年たちの社会復帰支援として東京都の多摩少年院の院外職業体験の受け入れを始めた
▼「生きている かけがえのないこの時間 無駄に出来ない 今後の未来」。院生の短歌からは、過去を見つめ直し、未来を大切に生きようという決意がうかがえる。固い誓いを成し遂げるには本人の努力はもちろん、受け入れる社会や地域の理解と寛容の精神が必須だ。