のしかかる審理長期化 - 東京新聞(2018年6月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018061202000137.html
https://megalodon.jp/2018-0612-0955-46/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018061202000137.html

再審開始決定の根拠となったDNA型鑑定について、東京高裁は信用性を真っ向から否定した。最近の捜査で重視されるDNA型鑑定の信頼性を巡り、評価の難しさが浮き彫りになった。
DNA型鑑定は近年、足利事件や東電女性殺害事件などで、再審の決定打となる例が目立つ。事件当時は不可能だった科学的手法を用いることで、真相究明により近づくことができる。
約四年間の即時抗告審で争点となったのは、DNA型鑑定の手法の信頼性だ。今回の事件で、鑑定された血液は四十五年前に発見された衣類に付着したもので、保存状態が悪く、袴田さんのDNA型かどうか判断が難しかった。
静岡地裁は「袴田さんの血液は付着していない」との結論を導いた鑑定人の手法を信頼し、無罪を認めるべき明らかな証拠と判断。これに対し高裁は「一般的に確立した科学的手法とは認められない」と退けた。
審理の舞台は、最高裁に移る。弁護団は高裁決定への反論のため、独自手法によるDNA型鑑定は信頼できるものだと、改めて主張していくことになる。ただ決定によると、鑑定の元データや実験ノートが保管されておらず、弁護団が高裁決定を覆すのは容易ではなく、長期化は避けられない。高齢の姉弟に時間が重くのしかかる。 (山田祐一郎)