<金口木舌>おさるのジョージから学ぶこと - 琉球新報(2018年5月22日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-723229.html
http://archive.today/2018.05.22-001901/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-723229.html

世界中で愛される絵本「おさるのジョージ(原題はCurious George)」。テレビでもおなじみのシリーズだ
▼主人公は好奇心旺盛で知りたがり屋な子猿のジョージ。なぜボートは浮かぶの? 磁石は何にくっつく? 夜空の星は何個あるの? 身近な景色や暮らしの中で浮かぶ疑問を自分で確かめたくてしょうがない
▼観察する、においを嗅ぐ、なめる、たたく、音を聞く。五感を使って試行錯誤するジョージの姿は子どもの成長そのものだ。ハプニングはつきものだがジョージはいつも前向きで創意工夫を重ねて失敗から学ぶ
▼原作者はユダヤ系ドイツ人のレイ夫妻。1940年、夫妻はナチスの迫害を逃れるため、2人乗り用を改造した2台の自転車に乗り、パリを出発した。かばんには服と食料と原稿。ポルトガル、ブラジルを経て米国に着き、ニューヨークで絵本を発刊した
▼ピンチをアイデアで乗り越え、新しい世界に飛び出す勇気に時代を生き抜くヒントが見える。起業家の奥田浩美さんは、未来を生きるために必要なのは「変化に強い人間になること」「失敗しても大丈夫! 次の波に乗れること」と言う
▼ふと省みる。大人が考える「正しい方法」を子どもに押し付けていないか。変化の激しい時代だからこそ、子どもたちが自ら学ぶ喜び、発見した時の朗らかな表情を見守り、後押しする環境が必要だ。