障害児施設に積極的要請 1951年、北海道「強制不妊手術は簡単」 - 東京新聞(2018年4月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201804/CK2018040502000130.html
https://megalodon.jp/2018-0405-1612-32/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201804/CK2018040502000130.html

優生保護法(一九四八〜九六年)下で障害者らへの強制不妊手術が繰り返された問題で、北海道が五一年、道内の障害児施設に対し、積極的に手術を申請するよう働き掛けていたことが、道の開示資料で分かった。道は手術について「子供を生まれなくするだけ」「簡単なもの」と説明。入所している知的障害児が対象かどうか診断する医師は「嘱託医、開業医等誰でもよい」としていた。
開示された資料は、道内三カ所の障害児施設に宛てた「精神薄弱児に対する強制優生手術について」と題した文書。施設に手術対象者がいる場合、「申請書を積極的に提出するよう御配意願いたい」と求めていた。
文書では、手術について男子は精管、女子は卵管を縛る手法とした上で「子供を生まれなくするだけの手術であり、男子は二〜三日、女子は一週間程度の入院ですむ簡単なもの」と説明した。医師の診断がある場合は、申請に「本人及び親権者の同意を必要としない」と明記。費用は国の負担のため「心配は必要ない」とし、申請書の提出先となる保健所を紹介していた。
道によると、実際に手術を受けたり、「手術が適当」と判断されたりした千三百十四人の個人名記載資料が確認されている。このうち二十歳未満は百八十一人で、最年少は男性十四歳、女性十一歳だった。
また、道衛生部保健予防課が五六年度の会議で、保健所に対して強制不妊手術の徹底を求めていたことも別の開示資料で判明した。会議資料の「優生精神事業方針」は「精神薄弱、その他多くは家庭に潜在している」との認識を示し、「あらゆる機会を捉え、これら対象者の発見に努め、申請を図るようにする」としていた。
事業方針は、精神病院などの協力により手術件数が年々増加し、五五年末で千件を突破したと紹介。一方、申請に際して、対象者と家族に対する説得で「問題を起こすことのないよう慎重を期すること」と指導していた。