(政界地獄耳)「書き換え」突き進む安倍内閣のおごり - 日刊スポーツ(2018年3月5日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803050000246.html
http://archive.today/2018.03.06-011441/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803050000246.html

安倍内閣は総じて支持率も高く、歴代自民党政権があいまいにしてきた部分を明確にすることで、内閣の性格をはっきりさせ、方向性を示していく内閣という印象を国民に与えてきたといえる。その結果、支持率のみならず、衆参の選挙においても勝利をもたらしてきた。長期政権を望み、ライバルが育たないこと、野党が壊滅的なことを最大限利用して、安定的な政権を維持したといっていい。
★一方、そのおごりが随所に見えた。選挙のテーマや大義が見えず「勝てるからやる」といった政局的判断が優先し、緻密な政策や国民を思っての行動などは見受けられない。昨年秋の総選挙はその顕著な例で、「国難突破解散」と銘打つものの、その国難は見当たらなかった。やりたいことだけを優先し、やるべきことを後回しにする首相・安倍晋三の性格が垣間見えるシーンもあった。消費税の延期とアベノミクスを組み合わせ、小泉内閣からの懸案である北朝鮮拉致被害者問題では同団体からの悲鳴が、沖縄の基地問題でも県民からの悲鳴が聞かれても、あれやこれやと乗り切ってきた。
★その政権運営の“黄信号”は、早くから米国から出ていた。オバマ政権はいち早く、この政権を歴史修正主義と見抜き、やんわりとけん制していたが、政権の浮揚と同時に政権擁護の声が増えてきたことでかき消される。その後は歴史を書き換え、教科書を書き換え、最近は国会の議事録を書き換え、今は公文書の書き換え、今後は憲法の書き換えに向かおうとしている。そのやりすぎは、霞が関を混乱に陥れた。書き換えの歴史をはっきりと指摘してこなかったメディア、書き換えを許し続けた与党、野党、議会の責任も大きい。もう正面強行突破は、通用しない。(K)※敬称略