(政界地獄耳) 塚田副大臣更迭→解決とはいかない官邸 - 日刊スポーツ(2019年4月6日)

 

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201904060000082.html
http://archive.today/2019.04.06-010311/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201904060000082.html

★「忖度(そんたく)した」と発言し、辞任した自民党の国交副大臣塚田一郎の罪は政権の中枢である首相・安倍晋三と副総理兼財務相麻生太郎の選挙区を結ぶ道路建設の復活劇の当事者に忖度したと明言したこと。立憲民主党参院議員・蓮舫は「これは忖度じゃなくてもう利益誘導。税金は自民党のためのものだと、まさに明言しているようなもの」といえる。

★本人は発言自体を撤回謝罪して結果辞任したがこの発言は福岡県知事選挙の応援演説での話。ともすれば知事選の有権者にうそ八百を話し続けたことにもなり、救うべき場所がない。共産党書記局長・小池晃は「塚田は衆院厚生労働委で『大勢が集まる会だったので、我を忘れて誤った発言をした』と釈明したが大勢が集まる場所で我を忘れる人は政治家やっちゃいけません」とSNSに書いたが、政治家失格と同義語だ。野党の強硬論に加えて与党内でも「統一地方選挙の真っ最中で参院選挙も控えていて選挙の現場は悲鳴を上げている」(自民党選挙関係者)というのも当然だろう。

★ただ、官邸は更迭すれば解決というわけにもいかない。今まで公文書の改ざんがあろうが、セクハラで事務次官が辞めようが、自殺者が出ようが辞める気がさらさらなかった麻生に始まり、金銭スキャンダルが後を絶たない男女共同参画相・片山さつきや五輪相・桜田義孝の舌禍をも守り通した手前、この事案だけ更迭できない。「そんなことをしたら忖度ドミノが起こる」(自民党関係者)。弱っているのは公明党も同じだ。塚田の監督責任国交相石井啓一が17年11月から務めている。「当然石井の責任論にも飛び火するが、実は国交相は14年12月の第2次安倍内閣発足以来、公明党枠。国交省関連の陳情は自民党副大臣が取りまとめる慣習がある。自民党にとっては副大臣が大臣の役割を担う。それが塚田の“忖度”発言を生んでいる」(自民党幹部)。自民党の身から出たさびでもあり、塚田の首だけでは済まなくなる。(K)※敬称略