虐殺の記憶 人間見つめ 映画「THEPROMISE/君への誓い」テリー・ジョージ監督 - 東京新聞(2018年2月1日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2018020102000190.html
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第一次大戦中のオスマン帝国(現トルコ)で、百五十万人が犠牲になったとされるアルメニア人虐殺をテーマにした「THE PROMISE/君への誓い」が三日、公開される。ルワンダ虐殺を描いた映画「ホテル・ルワンダ」(二〇〇四年)のテリー・ジョージ監督(65)が再びジェノサイド(民族大量虐殺)にメスを入れる。監督は「虐殺は人類に対する最も重い罪。その中で人々がどう耐え忍び、生き延びてきたかを伝えたい」と話す。 (猪飼なつみ)
「二十世紀最初のジェノサイド」とされるアルメニア人虐殺だが、トルコ政府は現在も国の関与を認めていない。ジョージ監督は、作品を作る三年ほど前から調査研究してきた。そして「政府が封印してきて、多くの人が知らない」と映画化の意義を感じたという。
史実を伝えると同時に、物語にはアルメニア人の男女と米国人ジャーナリストの恋愛ドラマを織り込み、エンターテインメント性も出した。「仮に歴史に興味がなくても、観客を夢中にさせなければならない。監督として最も興味があるのは、不完全で人間くさい登場人物を描くことで、プロパガンダや説教は僕の仕事ではないから」。その上でジャーナリストの取材活動を通して、歴史を俯瞰(ふかん)できるようにした。
物語の終盤、シリア国境に近いモーセ山に立てこもるアルメニア人とオスマン軍の戦いや、救出に当たったフランス海軍の提督は実話のままに描いた。
本作でも「ホテル・ルワンダ」と同様、残虐なシーンは直接描かず、観客に想像させるよう巧みな手法を採用している。「この映画を十代に見せたいし、大人でも生々しい場面は苦手な人もいる。できるだけ多くの人に知ってほしい」。虐殺を再びテーマにした理由については「観客が歴史を体験することで、何らかの行動を起こしたいとかき立てることもできる。その気持ちが、将来起こるかもしれない虐殺を防ぐ手段になる」と力説する。
戦争や暴力が絶えない現代、監督はヘイトスピーチのまん延を最も憂慮しているという。「無知な人たちがヘイトスピーチを発する時代。映画やメディアに携わる人は、冷静な対話が可能だということを示さなければならない」と感じている。

◆あらすじ
オスマン帝国の首都コンスタンチノープル(現イスタンブール)で医療を学ぶミカエル(オスカー・アイザック)はパリから帰国したばかりのアルメニア人のアナ(シャルロット・ルボン)や米国人ジャーナリストのクリス(クリスチャン・ベイル)と出会う。やがて戦争が始まると、ミカエルらアルメニア人の男は拘束され、強制労働に従事させられる。ミカエルは脱走して故郷に向かうが、途中で強制移住させられるアルメニア人の集団を目撃する。