(政界地獄耳)「クーリングオフ」できない名護市長選 - 日刊スポーツ(2018年2月7日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201802070000143.html
http://archive.today/2018.02.07-011443/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201802070000143.html

★4日に投開票が行われた沖縄県名護市長選。辺野古の基地移転問題を抱え、大きく注目された選挙だ。新人で自民、公明、維新が推薦する渡具知武豊(とぐち・たけとよ)が、現職の稲嶺進に3400票余りの差をつけ初当選。しかし選挙中、渡具知は辺野古のへの字も言わず、稲嶺の土俵には上がらなかった。そこには、渡具知選対の徹底した戦術があった。
★渡具知は当選後も周到だ。5日朝、「(基地移設に関し)地元市民の方々との認識に乖離(かいり)がありすぎる。(政府とは)一定の距離を常に置かないといけない」と、基地反対派への配慮を見せた。沖縄の選挙関係者が言う。「期日前投票が40%を超え、当日分を上回ったことには驚いた。沖縄の選挙風土『三日攻防』前に得票を固める作戦を、自民党の選対は選んだ。選挙前にも米軍ヘリが不時着するなど、不確定要素が多かった今回、確定票を早期に作ることが不可欠」。
★だが、これでは選挙期間の意味がなくなってしまう。今回、自民党は人気のある参院議員・三原じゅん子衆院議員・小泉進次郎を投入。小泉は結果的に2度投入して、街頭演説の後、すぐに期日前投票有権者に促した。政界関係者が言う。「まるで深夜の通販番組をほろ酔いで見ていて、雰囲気で買ってはみたものの、後日失敗に気付くような投票ではないか。もっとも通販ならクーリングオフでキャンセルできるが、選挙はそうもいかない。正々堂々、正論を訴えるだけの稲嶺陣営の選挙の裏をかいた」。
★沖縄の政治関係者は「新市長はやがて、前沖縄県知事仲井真弘多の二の舞いになるのではないか、との声が早速出始めた。つまり保守派に基盤を置いても、県民や市民の肌感覚では政府と一線を画さなくてはならず、仕事をすればするほど厳しくなる」。選挙に勝っても、沖縄の苦悩は取り除けない。(K)※敬称略