https://mainichi.jp/articles/20180207/k00/00e/040/193000c
http://archive.today/2018.02.07-063158/https://mainichi.jp/articles/20180207/k00/00e/040/193000c
福岡県飯塚市で1992年、女児2人(いずれも当時7歳)が殺害された「飯塚事件」で殺人罪などに問われ、2008年に死刑が執行された久間三千年・元死刑囚(執行時70歳)の再審請求即時抗告審で、福岡高裁(岡田信裁判長)は6日、請求を棄却した福岡地裁決定(14年3月)を支持し、弁護側の即時抗告を棄却した。
「命に代えても久間さんの無実の罪を晴らすために全力を尽くす」。福岡市内で記者会見した弁護団の徳田靖之弁護士(73)はこう述べて声を震わせた。
徳田弁護士は「再審開始になれば、死刑制度の根幹を揺るがしかねない。久間さんの無実の罪を晴らすだけの論証をしたが、死刑執行されている事実の重みが裁判所の目を曇らせた」と批判。岩田務弁護士(72)は「DNA型鑑定の試料が残っていないため再鑑定ができないなど、科学ともいえない鑑定結果を認める裁判所の姿勢は問題だ」と訴えた。
さらに弁護団は、1審・福岡地裁判決に関わった裁判官が、再審請求即時抗告審の審理に昨年の一時期関わっていたことを明らかにした。裁判官は決定前に異動したが、徳田弁護士は「公正な裁判を保障する憲法に違反する」と批判し、特別抗告の理由の一つとする可能性を示唆した。再審請求人で久間元死刑囚の妻は「夫の無実を信じ、名誉回復のために闘い続ける」とのコメントを発表した。
一方、福岡高検の秋山実次席検事は「検察官の主張が認められたもので適正、妥当な決定と考える」とコメントした。捜査に関わった70代の福岡県警の元捜査員は「発生から2年以上かけてDNA型鑑定などの状況証拠を積み重ねた上で自信を持って逮捕した。裁判所の判断は当然だ」と話した。【柿崎誠】