「不利益、男女関係ない」 IT社長の夫、別姓求め提訴 - 東京新聞(2018年1月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018010902000204.html
http://web.archive.org/web/20180109111906/http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018010902000204.html

夫婦別姓を認めない現行の法制度は法の下の平等を定めた憲法に反し、同姓を強制されたことで精神的苦痛を被ったなどとして、結婚時に妻の姓を選んだソフトウエア開発会社「サイボウズ」(東京)の青野慶久社長(46)ら四人が九日、国に一人あたり五十五万円、計二百二十万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。原告の代理人弁護士によると、結婚で姓を変えた男性が訴訟を起こすのは珍しい。
原告は青野社長のほか、結婚で姓を変えた女性一人と、互いの姓を変更したくないとして事実婚を予定している夫婦の二人。
訴状では日本人が外国人と結婚した場合は戸籍法の規定で同姓か別姓か選べるのに、日本人同士だと同姓を強制されるのは「法の下の平等を定めた憲法一四条に反した不合理な差別だ」と指摘。夫婦同姓の強制によって経済的、精神的な不利益を被ったとしている。
一方、夫婦同姓を定めた民法の規定について最高裁大法廷は二〇一五年、合憲と判断。別姓を認めない民法の規定には男女の不平等があるとした男女五人の訴えを退けた。その上で選択的夫婦別姓制度にも一定の合理性を認め「国会で論じられ判断されるべきだ」とした。
原告らは「大法廷の判決後も国会の審議は進んでいない」とし、違憲が明らかなのに国は長期にわたって必要な立法措置を怠ったと主張している。
九日の提訴後、原告らは東京都内で会見。青野社長は「夫婦別姓はこれまで女性の問題と捉えられやすかったが、本来、不利益は男女に関係ない。名前が変わることは精神的にも、経済性からも不合理だと訴えるため、今回あえて男性の自分が表に出ようと考えた」と述べた。
国の法務省民事局は「訴状が届いていないので、現段階ではコメントできません」としている。