夫婦別姓 事実婚2人が提訴へ 戸籍法規定で - 毎日新聞(2017年9月15日)

https://mainichi.jp/articles/20170915/k00/00m/040/154000c
http://archive.is/2017.09.15-001458/https://mainichi.jp/articles/20170915/k00/00m/040/154000c

戸籍法の規定で外国人と結婚した場合は夫婦別姓を選べるのに、日本人同士だと夫婦同姓しか認められないのは法の下の平等に反して違憲だとして、岡山県に住む日本人で事実婚の夫婦が来年1月にも、慰謝料など約220万円の支払いを国に求める訴訟を岡山地裁に起こす。民法の夫婦同姓の規定を巡って最高裁は2015年に合憲と判断したが、戸籍法の規定に着目した提訴は初めて。
訴えを起こすのは30代の夫と50代の妻。数年前から同居しているが、夫婦別姓を望んでいるため婚姻届は出していない。
民法は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」と規定し、夫婦同姓の根拠となっている。一方、日本人が外国人との婚姻を届け出た場合、外国人には戸籍がないため原則別姓となる。しかし当事者から「外国の姓も認めて」との要望を受けて1984年に戸籍法が改正され、市区町村に姓の変更届を提出すれば同姓を名乗れるようになった。これにより、外国人と婚姻する日本人は実質的に同姓か別姓かを選べることになった。
原告側は「日本人同士の場合のみ、氏名に関する権利を尊重する制度を設けない理由はない」とし、法の下の平等を保障する憲法14条などに違反して不合理な差別だと主張。法的な婚姻を結べず、精神的苦痛を受けたとしている。
会社員の妻は職種の関係で戸籍氏名の使用が求められている上、20年にわたってその氏名でキャリアを積み上げてきた。夫が妻の姓を名乗ることも考えたが、家庭の事情で断念したという。日本社会で法律上の夫婦になれないデメリットは大きく、夫婦は「互いに相続権がなく、生命保険金の受取人にもなれない。病気の時に手術の同意書にサインする権限もない」と訴えている。
戸籍制度を規定する戸籍法は、民法を実現するための付随的な手続き規定とされている。このため専門家からは、戸籍法の規定を根拠に民法の妥当性を争うのは難しいという指摘もある。原告の代理人を務める作花知志(さっか・ともし)弁護士(岡山弁護士会)は「夫婦別姓の問題に悩む人が多い。争い方を少し変えることで流れが変わる可能性はある」としている。【高橋祐貴】