「ブラック企業並み」小中校臨時教員、格差に悲鳴 - 神戸新聞(2017年9月21日)

https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201709/0010572937.shtml
http://archive.is/2017.09.28-043626/https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201709/0010572937.shtml

教員の働き方改革が叫ばれる中、非正規で働く公立小中学校の「臨時教員」の労働実態や待遇が問題になっている。正規教員と同様に担任や学年主任、部活顧問を任され、1カ月の時間外が100時間を超えることも。その一方で短期雇用が繰り返され、正規教員と同じ仕事をしても賃金が低いなど処遇に差がある。「働き方は“ブラック企業”並み」「いつ解雇されるか不安」−。兵庫県内の現場からは悲痛な声が上がる。(末永陽子)

「(労働環境が)こんなにひどいとは…」
30代女性は約10年、県内の小学校で臨時教員として働いてきた。
午前7時すぎに登校し、帰宅は午後9時すぎ。学年主任を任された年は、残業が月100時間を超えたこともあった。新人の指導係を頼まれ、指導計画やテスト作成などを自宅に持ち帰ってこなした。だが、給与は正規の7割に届かず、昇給の見通しもなかった。
今夏、出産を理由に休業した。正規は数年間の産休・育休が認められるが、非正規は休むしかない。児童からもらった「元気な赤ちゃんを産んで、また帰ってきて」とのメッセージに心が揺れる。「教え子の成長だけが支えだった。でも、有休も少ない中、子育てしながら続けられるかどうか…」

3年ほど前から非正規として働く女性は、会議では意見を言わない。行事や授業の問題点や改善策が浮かんでも「1年で替わるので提案しても意味がない気がして」とため息をつく。採用試験を受けようと思ったこともあったが、出題傾向は毎年変わり、休日は残業や子育てに追われる。
臨時教員が「裏」と呼ばれていることにもがくぜんとした。「表あっての裏やからね」と、面と向かって言う正規教員もいた。それでも頼まれた仕事は積極的に引き受ける。「やっかいな人だと思われて次の採用に影響が出ても困るから」

県内の小学校で担任をしている30代の男性も非正規教員の一人。半年ごとに契約を更新しながら同じ学校に3年以上勤務する。
臨時教員の場合、雇用期間が最長1年と定められ、契約の前後に1〜2日の“空白期間”を設けて採用を続けることが多い。9月1日、新学期の初日。厳密にいうと失職中だが、朝から出勤した。
採用試験に合格していないこともあり、非正規と知った保護者から批判を受けたこともある。「非正規」という立場に甘えてやる気のない同僚もいたが、自分には失職中も家庭訪問や資料作成を行ってきたという自負がある。働いて10年以上。基本給はほとんど変わっていない。「現場での態度や指導力を少しでも待遇に反映できる制度があれば、非正規の士気も上がるのに」と訴える。